2014年10月17日金曜日

これはいい涙

 私はこのブログの中で何度も、「女の涙は安売りするものじゃない」と言い続けている。それがガチの涙であろうと、演出の涙であろうと、使いすぎれば価値は下がる。滅多に泣かない娘が泣くからこそ、その涙の持つ重みがファンに伝わるのである。
 という前置きを踏まえた上で、昨夜の「おでかけ」である。色々と規制強化の流れの中で、アップロードしてくれる人がいるかどうか不満だったのだが、なんとか無事に見れたので一安心しつつ、既に様々な方向から事前にネタバレを聞いていたにも拘らず、(私の中では)久々の神回だったので、ついつい何度も見返してしまった。

 ちぃず自身は「見ないで下さい」とぐぐたすで語っているが、おそらく、それは(少なくとも、部分的には)本音だろう。端から見ればダチョウ倶楽部にしか思えない発言だろうが、本人的には本気で見てほしくないのだと思う。もし、これが、「そう言えば、きっとファンの人達は欠かさずチェックして、私の泣き崩れるシーンでギャップ萌えするだろう」なんて計算まで出来てる娘なら、それはそれで芸能人としての成長と言えるのだろうが、仮にそういう気持ちが心の奥のどこかにあったとしても、それ以上に「自分が失敗して泣き崩れる醜態は見られたくない」という気持ちの方が遥かに強いのだと思う。
 少なくとも、彼女が人前でここまで号泣する姿を見せたのは、私の記憶が間違っていなければ、去年の夏の臨時休演(からの復帰)の時以来である。舞台裏では、反省会で呼んでもらえなかったことに号泣したり、ツインテールをさせられそうになって泣き出したこともあったらしいが、カメラの前ではそこまで感情を露にすることはまずない。
 そして今回の件は、その去年の臨時休演の時の状況に非常によく似ている。それまで立派に「務め」を果たしていた彼女が、たった一つのミスで、それまで仲間達と一緒に積み上げてきたもの(連続成功、連続無欠員開催)を壊してしまったことへの、無念さと自己嫌悪による感情の防波堤の決壊。まさに魂の慟哭である。だからこそ、その姿を見られることは(たとえそれがバラエティ的に美味しいと分かっていても)堪え難いのだろう。

 これまでにも、彼女が公の場で「失敗」した事例はいくらでもある。たとえば、先日のごぼてんでのグダグダ状態は、本人としても不本意だっただろうし、バラエティ的に考えてもあまり美味しいとは言えない展開だったが、それについては「事故ってます」と自嘲しながらも堂々と告知していた。おそらく、バラエティ的には(結果的に盛り上がる展開になった今回よりも)ごぼてんの方が「致命的な失敗」だったと思うのだが、「まともに喋れずにアタフタする自分」を見られることよりも、今回の「ガチで大号泣する自分」を見られる方が、より「恥ずかしい」という気持ちが強いらしい。この違いはどこから来るのだろう?

 おそらく、第一の理由は「自分の失敗が、他人に迷惑をかけているか否か」という点だろう。無論、ごぼてんにおいても、さっしーも巻き添え事故を食らっている側面はある訳だが、あの映像を見る限り、テンパってるちぃずに頑張って対応しようとするさっしーに対して、視聴者が悪印象を抱くことはないだろう。自分の失敗で株が下がるのが自分だけなら、その失態の姿を見られることは、それほど苦痛ではないらしい。
 これに対して、今回のおでかけにおいては、本来の企画のハードルを下げてもらった上での失敗であり、御褒美が貰えないだけでなく、番組的にも締まらない形で終わってしまうという意味で他のメンバー達のイメージも悪くしてしまったという意識はあるだろうし、何よりも、穴井キャップに一度も出番を回せないまま終わってしまったことへの罪悪感もあったと思う。「最後にキャップまで回せば、仮に失敗しても視聴者は盛り上がったかもしれないけど、その『見せ場』自体を自分が潰してしまった」と考えると、それだけで相当な動揺を招いたことは想像に難くない。

 そしてもう一つの理由としては「自分の得意分野か否か」という違いもあったのではないかと思う。彼女自身は、自分のことを「バラエティ向きの人間ではない」と考えているのはこれまでの言動からも明らかであるし、トークでテンパってしまうのも、ある意味「いつものこと」である。無論、だからと言って失敗したことを反省していない訳ではないだろうが、もともと苦手分野と思っていることで失敗したとしても、そこまで精神的なダメージにはならないだろう。
 一方、彼女はHKTの中では「スポーツ担当」としての自負はあるだろうし、今回の企画でも「出来る子」枠として呼ばれているという自覚はあったと思う。一応、ボウリングに関しては初心者だったようだが(実際、当初はボールの持ち方もおかしかったし)、それでもあっさりとコツを掴んで、途中までは着実にピンを倒していた。その流れの中で、最後の最後で失敗して終わってしまったのだから、自分の存在意義を疑問に思うレベルで自己嫌悪に陥ってしまうのも無理はない。

 よく秋元先生はAKBのことを高校野球に喩えるが、おそらく彼女の中では、ごぼてんの一件は「長島三奈を前にしてテンパった高校球児が訳分からないコト言ってる姿が熱闘甲子園で流れてしまった」という程度の失敗であるのに対して、おでかけの一件は「それまで好守を続けていた守備職人の内野手が、最後の最後でサヨナラタイムリーエラーをやらかした」というレベルの失敗なのだろう。そうなった時に、その場に崩れ落ちて号泣してしまうのも高校野球ではよくある話であるし、エラーした本人がその映像を見られたくないと思うのも当然の話である。
 だが、視聴者である我々は、そんな形で涙を流す高校球児や女子高生アイドルの姿が大好きなのだ。そんな姿を見せたくないと必死で頑張ってる彼等だからこそ、その「失敗した姿」にも価値が生まれるのである。悪趣味だとは思いながらも、そんな彼等・彼女等を愛でるのをやめられない。それが、高校野球やアイドルに魅せられたおじさん達の「業」なのである。

 でもまぁ、やっぱり、彼女のそんな悔し涙よりも、何かに成功して喜んで笑ってる姿を見せてくれる方が何倍も嬉しいのは事実なので、その意味では、来週の企画には今回以上に期待してます。あの謙虚なちぃずが「次のやつはみて欲しいです」とまで言ってるくらいだから、きっと「本来の彼女の持ち味」が満載の映像なんだろうな♪



蛇足
 ちなみに、今回の御褒美になる筈だった「ちんや」って、私の記憶が間違っていなければ、ちぃずがおでかけに初出演した時の店ですよね? あの時は、おでセンの村重からろくにパスも貰えないまま、華世姉さんに全部もっていかれて、何の爪痕も残せずに終わってしまった訳で。もしかしたら、今回は彼女にとって、あの時のリベンジを期す思いもあったのかもしれませんね(と考えるのは、さすがに深読みしすぎかな?)。

2 件のコメント:

  1. こんばんは。

    僕も件の「おでかけ」を視聴しました。

    やはり,梅本さんには追い風が吹いていると感じました。

    それは,単にあの展開が梅本さんにとって「美味しかった」ということを意味するのではありません。

    「10人連続5ピン以上」というルールは,誰が聞いても緩過ぎると感じる筈です。

    もちろん,番組スタッフも「緩過ぎるんじゃないか」と思わなかったはずはないでしょう。

    推測するに企画段階ではもう少しハードルを高く設定していたのではないかと思います。

    しかしながら,出演メンバーのボウリングに関する技術を実際に見たスタッフが,「10人連続5ピン以上」が妥当な課題であると判断し,変更されたのではないでしょうか。

    つまり,当初から企画として成立しえない危険性を孕んでいたのではないかと僕は思います。

    僕は,今回の放送を見た直後,「上手く編集したな」と感じていたのですが,よくよく考えてみれば他に編集の仕様の無い企画だったようにも思います。

    仮に梅本さんが失敗していなかったと仮定します。

    その場合,当然,10人目の穴井さんが企画成立に関する鍵を握ることになるでしょう。

    この展開は穴井さんにとって非常に難しい局面になるのです。

    それは「10人目のプレッシャー」というレベルの話ではありません。

    もし,穴井さんがピンを倒して「チャレンジ成功」となったとしても,途中で「1ピン以上」にルールを変更している以上,いまひとつ収まりが悪いエンディングになったことでしょう。

    一方,穴井さんが失敗していたとしても,この日の出演メンバーの中に穴井さんの「ポンコツぶり」を突っ込むに相応しいメンバーはいなかったように思います。

    おそらく,いもむchuメンバーが頑張って突っ込むことになったでしょうが,バラエティ的観点に限定して言えば,いもむchuメンバーと穴井さんはあまり相性がよいとは思いません(断じて「仲が悪い」というのではなく,あくまでバラエティ的観点からみた相性においての話です)。

    つまり,当初から無理を孕んだ今回の企画において,番組前半部で好調をアピールしていた梅本さんが失敗する以上の展開は無かったと思います。

    梅本さんはGoogle+で「メンバーにも,後藤さんにも申しわけない」と書いていましたが,梅本さん本人は不本意であったにせよ,今回の企画を救い,今回の企画において立場的に番組制作者サイドの意図を汲み取りつつ出演していたであろう穴井さんを救ったのは梅本さんだったと僕は思います。

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  2.  うーん、正直、ボウリングが苦手な私から見れば、「10人連続5本以上」って、そんなにヌルい企画でもないと思うんですけどね。
     通常のボウリングと同様に、一人二投した上での5本以上ならヌルいですけど、あの映像を見る限り、一人一投で5本以上ですよね。仮に、「一人で10連投して毎回5本以上倒せ」というルールだった場合、私なら90分チャレンジしても達成出来ないと思います。というか、ガチでボウリングが苦手な私にとっては、「10回連続でガーター回避」だけでも、実は結構難しいものなのですよ(とはいえ、さすがにそのルールで90分間連続でチャレンジするなら、なんとか成功出来ると思いますが) 。
     で、今回のメンバーを見る限り、トミヨシやPちゃんのように、明らかに運動が苦手なメンバーを加えている以上、「10人連続5本以上」は、最初からかなり無理のある企画だと思います。無論、だからと言って「10人連続1本以上で豪華料亭お食事券」はさすがにヌルすぎますし、それでは視聴者も盛り上がらないでしょう。
     なので、この企画をやるなら、せめて、最初からボウリングが得意なメンバーを集めるか、チャレンジ時間をもっと長くする必要があったのではないかと。まぁ、スタッフ側としては「失敗して終わり」という展開でも、十分に美味しいという算段はあったんでしょうけどね。

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